私的整理(任意整理)とは、破産・民事再生等の法的手続によらずに債権者と債務者との自主的協議により債務の整理を図る手続です。
そのメリットとして
①債権者と債務者の合意を円滑に進めることで、柔軟・迅速・低廉な手続が可能になること
②倒産のレッテルが貼られることがないため取引先の信用や企業ブランドなどが毀損されにくいこと
③債権カットの基準が必ずしも一律である必要がなく、取引先に負担をかけない形での再建が可能になるため、連鎖倒産を避けることが可能になること
などが挙げられます。
他方でデメリットとして
①再建計画に同意しない債権者を法的に拘束できないこと
②公的機関としての裁判所を介するわけではない
ため、民事再生手続で認められる債務弁済禁止等の保全処分を求める制度がないことなどが挙げられます。
私的整理は比較的自由度が高い反面、第三者による監督が想定されない結果、利害関係者の権利を不当に侵害する可能性も否定できない手続ですので、かかるデメリットを回避する見地から手続の透明性・公平性が要請されます。このような問題意識から、学識経験者などで構成された研究会により「私的整理ガイドライン」が発表されました。
ガイドラインでは対象企業が債権放棄を受ける要件として、事業再建計画において
①3年以内の実質債務超過の解消および経常利益の黒字化
②株主責任の明確化
③経営者退任の原則
などを挙げています。法律と異なり法的拘束力のあるものではありませんが、手続の遂行に際しては一応の参考になるものと思われます。
具体的事案としては例えば将来的に大きな売上が見込めるが目前の支払が厳しい場合や、毎月の約定弁済が厳しいが、返済方法の変更に応じてもらえれば資金繰りに余裕が出るなどと言った場合に、主要取引銀行にかけあってリスケジュールを求めてみることは有効と思われます。
しかしながら、このような要求をすることは同時に会社の苦しい財務状況をさらけ出すことになりますから、安易に行われるべきでないことはいうまでもありません。リスケジュールを打診した後で想像した以上に会社の財務状況が悪いものと判断され、取引銀行に融資の引き揚げに動かれてしまっては元も子もなくなります。
支払猶予やリスケジュールを求めるにも相応の準備が必要であり、また打診するタイミングも慎重に見計らう必要があります。またそのような打診により状況が改善するのかどうかも、会社の財務状況等に照らして総合的に判断する必要があります。まずは弁護士に相談し、客観的な意見を聴き現状を的確に把握することをお薦めします。