特定商取引法に対応する上で特に注意すべき点として、次の点が挙げられます。
特定商取引法(以下「特商法」といいます。)は,以下の6種類の取引について適用があります。
①訪問販売②通信販売③電話勧誘販売④特定継続的役務提供(以下の指定6業種が対象)エステティックサロン,語学教室,学習塾,家庭教師,パソコン教室,結婚相手紹介サービスの6業種⑤連鎖販売取引(いわゆるマルチ商法)⑥業務提供誘因販売取引(いわゆる内職商法やモニター商法)また特定商取引には含まれませんが、売買契約に基づかないで一方的に商品を送りつけてくる商法(いわゆる「送りつけ商法」)についても規定されています。
特定商取引法は、訪問販売等の販売形態において往々にして不公正な取引が行われ、あるいはこれらの販売方法が有する特殊性のために、取引の相手方である一般消費者が不当な損害を被ることがある実態に鑑み、消費者保護や取引の公正化を図る目的から、事業者に様々な規定を設けています。
以下では特に事業者にとって注意すべき点について御説明します。
特商法上、通信販売とネガティブオプションを除いた各取引について、クーリング・オフ制度が規定されています。事業者の側から見れば、クーリング・オフの記載がある契約書面を購入者が受け取った日から数えて8日以内にクーリング・オフの通知を受けた場合、特段の理由なく直ちに代金の返金に応じなければなりません。
仮に何らかの理由により、一度に多数の消費者から返金を求められてしまいますと、最悪の場合倒産してしまうリスクまでありますので事業者としてはクーリング・オフ制度には細心の注意を払うことが必要です。なおクーリング・オフ制度は、特商法上の法定書面交付義務(概要書面と契約書面の交付義務)と密接に関係しています。すなわち、法定書面交付義務が履行されていない場合には、消費者はいつまでもクーリング・オフをして全額返金を求めることができることにもなりますので事業者のリスクは非常に大きいものとなります。
また書面に重大な不備がある場合にも、法定書面交付義務は履行されていないものと見なされますので、このような観点から法定書面に必要的記載事項が書かれているかを慎重にチェックした上、基本となる契約書等を作成する必要があります。いずれにしても、事業者としては法定書面交付義務を適法に履行しているか否かが最大の注意点となります。
特商法上、広告の表現に関する規制や勧誘に際しての行為規制が数多く定められていますので、御社内部において勧誘や広告に際し特商法上の規制を遵守しているかについて、常に監視する必要があります。
なお消費者との間で勧誘規制違反の点が争われる際には、双方明確な証拠がないことが多いですので、勧誘経過や契約手続について、できる限り詳細な記録を残すことをお勧めします。